正解がない世界で、選択肢を多く持つことが経営になる
混沌としだした世界
現在の世の中は古いシステムが機能しなくなり、何が次の世界に起こってくるかわからない社会になってきています。世界的に見ても既存の政権が変わったり首相が交代したりと、既存のやり方が通じなくなってきているのだと思います。そのような混沌とした社会の中で次に起こってくる新しい潮流は、時間をかけて、どこかから起こってくるのだと思います。しかし今はその潮流がどのようなものか、だれにも判断できないのです。
選択肢を持つことの重要性
そんな先行きがわからない中で、個人であれ、会社であれ、いろいろな選択肢をいかに多く持てる状況を作っておくかが重要になってきていると思います。
個人であれば、勤めていた会社だけの給与収入に依存するのではなく、複数の収入源を持てるようにしておくことです。ひょっと会社がどうにかなった時でも、他の収入源を持っていれば、他の収入源で当面しのいで、時間をかけて新たな収入源を確保するということもできるからです。
先行きが不透明なので、何が正しいか分からない状態では、選択肢を多く持てる環境を作っていくということが非常に重要なのだと思います。
このことは会社経営においても同じことがいえると思います。収入源の柱をいくつも持っている会社は、安定した経営をしているといえるのではないでしょうか。一つの事業がこけても他の事業があり潰れることはないのです。
地域金融機関の事業環境をみてみますと、貸出、運用性商品に関する事業については、地域の人口減少問題が非常に影響するので、先々急激に拡大するということは望めないと思います。どちらかというと縮小する方向にあると思います。なので、今のうちに新しい選択肢を持てる事業環境を作っていく必要があるのではないでしょうか。
取引先ネットワークを使った新しいプロジェクト(選択肢)の立ち上げ
では選択肢を増やす一番良い方法はどのようなものでしょうか?
それは地域金融機関の既存にあるネットワークを利用すれば良いと思います。地域金融機関は、支店の担当者を通じて、地域のお客様とつながっています。このつながっているお客様と一緒にいろいろな新しい付加価値を生むプロジェクトを一緒に作っていけば、まだまだ新しい伸びる事業を作れる可能性があると思うのです。
銀行の支店には営業の担当者が、支店長も含めて5人~15人程度はいるのではないでしょうか。担当者とつながっている地域のお客様は、いろいろなビジネスをしていて、地域内や地域外、ひょっとすると海外にも取引先ネットワークを持っている可能性があるのです。お客様と一緒に、新たな付加価値を創造するプロジェクトを、地域の中で作っていくという発想を持てば、いくらでも広がりがある事業を作ることができるのです。
思考の広がりが、ある仕事と、ない仕事
担当者の仕事に対する思考の仕方では、既存の貸出や運用性商品、コンサルティング業務というのは、どうしてもお客様ありきのビジネスで、獲得を目標とした営業になりがちです。営業の仕方も獲得するという方法ですと、担当者の限定された考え方の中で活動しがちになります。
しかしお客様と一緒に付加価値を創造するプロジェクトとして、新しいビジネスを作っていくという発想に立てば、担当者の視野と思考が広がり、いろいろ物を前向きに取り込んで、新しいことを創造するという能動的な活動ができると思うのです。
人材不足に悩む地域の中小企業
お客様の側では、新しいプロジェクトを立ち上げたいけれども、自社内で適切な人材がいなかったり、社長自身の時間が確保できないことで、新しいことができていない会社が多くあるのです。
新しいプロジェクトを立ち上げたいお客様と担当者を、どのようにしたら組合わせられるか、ということを工夫すれば、プロジェクトはいくらでも立ち上げることができると思います。この時に制約となるのが、担当エリアの壁だったり、支店の壁だったり、担当業務の壁だったりということです。こういった社内にあるあらゆる壁を一旦取り払って、自由にプロジェクトを立ち上げられるという考え方を組織の中に埋め込めば、いくらでもプロジェクトは立ち上がるはずです。
新しいプロジェクトが地域の中で、どんどん立ち上がっていけば、お客様と地域金融機関との信頼のつながりができてくるはずです。この信頼のつながりであるプロジェクトが、増えれば増えるほど、地域の中での信頼ネットワークの密度が上がっていき、その地域金融機関の信用力(ブランド力)は大きくなっていくはずです。
このネットワークが濃密になってくると、一担当者や、一エリアでは解決できないようなお客様の課題が出てきたとしても、他の地域や他のプロジェクトに関わる、お客様の技術やサービスで解決できることが、ネットワークの中には必ずあるはずです。
AI化で効率化できた時間でプロジェクトを起こす
これからはAIが発達することで、書類を書いたり事務をする負担はどんどん減ってくると思います。そうして効率化できた時間を、人に会って、何か新しいことを起こすとことにシフトしていけば良いと思うのです。付加価値創造を伴うプロジェクトを起こすことに集中する仕組みを作ってくのです。
付加価値創造プロジェクトでつながる濃密ネットワークの中では、いくらでもプロジェクトを立ち上げられる選択肢が多くあるわけです。今後、地域金融機関が新たな収益源となる選択肢を多く持てる可能性があるのです。
プロジェクト型業務で将来の選択肢を作る
人口減少が続く地域の中で、将来に向けた良い選択肢を持つために、プロジェクト型業務で、お客様と新しいビジネスを作るという考え方は、5年10年単位で、先を見たときには非常に良い経営の仕方なのではないでしょうか。