信用>お金、の時代に対応する仕組み

2025年01月05日

銀行は信用で商売ができている

銀行員は悪いことはしない、銀行員だから安心だ、銀行員はきちんとしている、といった銀行に対するイメージがあると思います、それは銀行がお金という目には見えない、お客様にとって大切なものを取扱っているから、信用を求められるのだと思います。

銀行の信用には2種類ある

銀行の信用の種類には、主に二つあると思います。

一つ目は、財務的な健全性を保っていること。預けているお金が間違いなくお客様のもとに返ってくるという信用です。銀行は信用創造(融資)をビジネスの中心に据えて経営しています。預けたお金が返ってこないという不健全な金融機関であれば、お客様の大切な預金を預けて頂けなくなり、預金を原資しとする信用創造(融資)ができないことになり、経営にならないのです。

二つ目は、銀行員は悪いことをしないであろうという信用です。これはお金という、お客様にとって命の次に大切な資産をお預かりするので、お金をいい加減にはあつかわないということで、銀行員は悪いことをしないという信用です。


お金の価値が下落している

現在は三つの要因からお金の価値が落ちてきていると思います。

一つ目は、お金に類する通貨(ピットコイン等の仮想通貨)を取扱える事業者がでてきたことです。PayPay等の、ネット、通信企業や、流通系企業、保険会社などが銀行経営を開始して、既存の銀行がなくても、資金の決済や融資を受けられるようになったことです。資金決済や融資ができる事業者が増加しているのです。

二つ目は、インフレです。インフレとはお金の価値よりも、物の価値の方が高くなってくる現象のことです。日本の場合、30年前のバブル景気崩壊以降、デフレ状態(物の価値よりもお金の価値が高い)に悩まされました。そこで政府日銀が市場に、通貨を大量に資金投入したことで相対的にお金の価値を下げる政策をとり、お金の価値が落ちていきました。

三つ目は、高度成長経済が終わり、日本の社会に物がいき渡り、物あまり社会になったことです。日本の中で物が十分に供給されつくしたことで、物を作るための工場を建設する必要が無くなり、新たな設備投資資金需要が少なくなったことです。設備投資資金需要の減少により、日本全体でみると資金供給をする金融機関の数が相対的に多くなり、オーバーバンキング状態になってしまったということです。結果として資金供給を中心に行なっていた金融機関の必要性が薄れていきました。


お金の価値の低下に伴う信用の低下

お金に結びついていた銀行の信用が、お金の価値が下落したことにより、一緒に銀行に寄せられる信用も下落してしまったのです。この信用が下落していることが、銀行経営を苦しくしている根本的な原因になっていると思います。 

市場や地域のお客様からの信用を取り戻すためにはどのようにすればよいのでしょうか。それは、地域の中で困っている事象に対して、関わってサポートをしていく事業をしていくことです。地域で一番困っていることは、人口減少により地域経済が縮小していることです。地域経済の縮小を止めるためには、今まで地域にない新しい付加価値を創造していく仕組を地域の中で作ることです。

信用をお金から新たな価値にシフトする

従来の銀行ではお金に信用が結びついていました。現在はお金の価値が下がってきて、この信用も落ちているのです。価値の落ちたお金を中心とするビジネスから、他の価値のあるビジネスにシフトしていく必要性があるのです。この新しい価値を見出せないと経営は難しくなってくるのではないでしょうか。ではその新しい価値とはどこにあるのでしょうか。

地域に目をむけると、人口減少が著しく地域経済が衰退していくということが大きな課題です。地域経済の衰退を止めるためには、地域の中で新しい付加価値を創造していくことが重要なのです。この新しい付加価値を創造するための動きを、地域金融機関の中で作っていけば良いのです。

では地域の中で一番枯渇している資源は何でしょうか?それは人口減少が進む地域の中では、人材が不足していると思います。人材がいれば新たな付加価値を創造することができるし、いろいろなサポートをすることができるのです。

地域の中で一番人材を抱えているのは地域金融機関ではないでしょうか。今いる人材をお金に関わる仕事から、地域の付加価値を創造する新しいビジネスにシフトすることで、新しい地域での信用を獲得することができると思うのです。

現在は、高度成長期の物を作って経済成長する時代から、ソフトやシステム、ブランド等の無形資産を生産して経済成長する時代にシフトしています。今の社会はリアルの資産から、無形の資産を活用する経済に移行している最中です。

地域の中小企業では現在の経済変化に、適応できる人材があらゆる面で不足しています。ここの課題に対して地域金融機関が人材提供を中心としたサポートを、事業に加えればまだまだ地域金融機関は自分達の事業を伸ばせるし、地域からの信用も獲得できるはずです。