強力な地域ネットワークを活用する

2024年12月09日

GAFAのビジネスモデルを参考にする

地域金融機関のDX化には、GAFAのビジネスモデルが非常に参考になります。GAFAのビジネスモデルの特徴はどのようなものでしょうか。一地域金融機関がGAFAのビジネスモデルを真似ができるものではないと思われるかもしれません。GAFAの売上規模は小さな国の国家予算を上回る規模で、全てを真似できるようなものではありません。しかしGAFAがこのような巨大な売上を確保できるのには、普遍的な仕組みがあるからだと思います。

いろいろな仕組みの中でGAFA4社に共通していることがあります。一つは情報を取り扱っているということです。そしてもう一つはネット空間の中でネットワーク効果を使って自分たちの事業領域を強固にしていったということです。GAFAが誕生してからまだ20年間しか経っていないのに、ネットワーク効果によりサイバー空間は彼らに牛耳られてしまったのです。

ネットワーク効果とはユーザ顧客の数が増えれば増えるほど事業価値が高まり、顧客にとって便益が増すということです。島田太郎(東芝原社長)と尾原和啓共著の「スケールフリーネットワークものづくり日本だからできるDX」の中に、日本に残された大転換のチャンス、事前に備えて、日本がとるべき戦略とはで、GAFAに対抗する新たな戦略が書かれています。

この本の内容からすると、これからはGAFAが作ってきたサイバー空間による事業領域よりも、リアルの世界の方がはるかに情報量が大きい。なのでネット社会で覇権を握ったGAFAたちも、リアルの世界の情報を取るために、リアルの社会の情報収集に力をいれていくということです。これからはリアルの世界が、ネットの世界を引っ張っていく。これからのネット空間の勝敗を分けるのは、リアルの世界の情報をデジタル化できた事業者であるというものです。

スケールフリーネットワークの中でつながる「ハブ」

GAFAのビジネスモデルの特徴として、スケールフリーネットワークを活用している点があります。スケールフリーネットワークでキーワードになるのが「ハブ」です。

「ハブ」というワードをよく聞くケースとしてハブ空港があります。ハブ空港というのは、世界中の空港が多くある中で、世界の各地域から路線が多く入込んでいる空港のことです。大部分の空港は路線の乗入れ数は少ないのですが、ハブ空港は他の空港とは比較にならないくらい路線が入り込んでいます。

ハブ空港があるおかげで移動する人は、乗り換え等がスムーズになり、目的地に早く着けます。まだ航空会社側も主要な設備投資などをハブ空港に集中的に投下することで効率的に運用でき、お客様の利便性の向上と航空会社側のサービス向上が相乗的に起こるのです。

大多数の路線の少ない小さな空港と、ハブとなる大きい空港が全体としてつながって、効率的に運営されていることは、航空路線のネットワークではスケールーフリーネットワークが構築されているといえるのです。

Googleのスケールフリーネットワークとマネタイズ

この航空システムの同じことがGoogleのネットワークシステムも当てはまります。Googleの場合の「ハブ」はWEBページで評価の高いページにあたります。WEBページを消費者が検索したときに、上位に表示させることに成功しているのです。

世界中のWEBページ数は、天文学的な数値になり、大半のページが評価されていないページになります。検索されたときに評価されているページをそれらの中から上位に表示させるのです。これをページランクといいます。これは消費者が知りたいことを検索したときに、すぐに知りたいことを教えてくれるWEBページを上位に表示される便利な仕組みです。

消費者が検索機能を頻繁に使うことで、WEB上での検索機能の市場を独占しました。この検索システムを確立していく中で、WEB上でのスケールフリーネットワークを構築していったのです。Googleはこの検索によるWEB上での独占を図ってから、検索連動型広告事業を開始してマネタイズを成功させました。

Facebookのスケールフリーネットワークとマネタイズ

Facebookの場合は、Facebook上で友達が多い人が「ハブ」となることで、スケールフリーネットワークを構築していきました。リアルの世界での友達のつながりは、交友が広い人でも友達の数は限定されています。しかしFacebook上では趣味や思考を切り口として100人、1000人、10,000人単位で友達としてつながることができます。このように友達が多い人がハブとなって評価され、ハブが結節点の大きな役割を演じて、WEB上で無限大につながりを広げることが可能となりました。WEB上で友達のネットワークが可視化されたのです。

今まで知り合いになれなかった人たちと、WEB上でつながることができるという機能を使って、スケールフリーネットワークを構築していったのです。FacebookもWEB上で友達ネットワークを広げたところで、WEB広告を使ってマネタイズしていきました。

Google・Facebookのスケールフリーネットワークに見られるように、情報やネットワークを扱う企業にとって、スケールフリーネットワークを理解することが非常に重要であることがわかると思います。

既に地域の中でスケールフリーネットワークを構築している地域金融機関

実は地域金融機関はすでにスケールフリーネットワークを構築しているのです。それはどういうことかというと、地域金融機関は支店にいる担当者を通して無数のお客様とつながっているのです。支店の担当者が接している無数の客様は、地域の中や地域の外で、取引先や知り合いとつながっています。地域のお客様同士は地域の中で無数につながっているのです。地域金融機関の社員は取引先のお客様を通じて、現場の社員が「ハブ」となることで、地域のネットワークにつながっているということになるのです。