地域人材をシェアリングするという発想

2024年12月31日

シェアリングエコノミーとういうワードを聞いたことがあると思います。

シェアリングエコノミーとは

総務省では、シェアリングエコノミー[個人等が保有する活用可能な資産等(スキルや時間等の無形のものを含む)を、インターネット上のマッチングプラットフォームを介して、他の個人等も利用可能とする経済活性化活動をいう]は、ITの普及・高度化に伴い、空き部屋、会議室、駐車スペースや衣服のシェア、家事代行、育児代行、イラスト作成のマッチングなど多様な分野で登場しつつあり、一億総活躍社会の実現や地方創生の実現など、超少子高齢化社会を迎える我が国の諸課題の解決に資する可能性があります、と説明があります。

シェアリングエコノミーの発想で、地域人材も各組織で融通し合うということをしていけば、地域活性化が活発化していくのではないかと思っています。

若者の人口が減っていく

これからの人口減少社会では、人材不足は必ず起こってきます。特に若い優秀な人材が、希少性を持ってくる時代が来ております。日本の出生者数の推移をみてみますと、1970年が193万人、2000年が119万人、2020年が84万人、2024年は70万人を下回る出生数になっております。2024年の出生者数は2000年の約6割で、少子高齢化対策が行われたとしても、この傾向は継続するか、もしくはもっと悪化すると思った方が妥当なのではないでしょうか。

このような、若者人材の不足が明白な中で、地域の地域活性化活動をする人材も不足してくることはあきらかです。

地域活性化活動をしているのはどのよう組織があるでしょうか。各地域の自治体、地域金融機関、地域おこし隊等が主な組織になるのではないではないでしょうか。各地域にある組織に所属する職員さんは、地域を良くしたいという思いを、皆様お持ちになられています。しかし、各組織で自分たちが行う施策に対して、地域の中だけで、自分達の地域を良くしたいという思いで、一生懸命活動をされています。この活動自体が悪いわけではありません。しかし、人材がこれから不足していく中では、各地域における組織で、それぞれに活動するのでは非常にもったいないのです。

優秀な人材が重複している

例えば、隣接する自治体どうしで、自分たちの地域のために、地域活性化を当然行っています。そこに関わる人たちは、隣接する自治体と同じように組織ごとにいるわけです。自分たちの地域のために地域活性化のプロジェクトをそれぞれが行うわけです。しかし、この地域活性化プロジェクトの内容はそれぞれ違ってはいるものの、地域活性化をする方法では、さほど大きな変わりは無いと思うのです。それぞれの自治体の職員さんが、同じような機能として働かれているのです。隣街のプロジェクトも、自分たちのプロジェクトも同じようなプロジェクトが行われているのです。隣街どうしの自治体を一つのエリアとみると、そこに関わる人材は、2つ自治体で、二人の人員が裂かれているわけです。

人材をシェアリング(共有)する

地域活性化のプロジェクトに関わる人材というのは、非常に優秀な方なはずです。せっかく優秀な人材の方が1つの街の自治体でのみが活躍するというのは非常にもったいない気がします。所属としてはその組織である自治体に属しながらも、企画については、いろいろな自治体のプロジェクトに関われる仕組みを作っていけば、優秀な人材の共有(シェアリング)ができ、各自治体のプロジェクトに横断的に関わっていくことができると思うのです。

このような地域の中で、組織横断的にプロジェクトベースで、地域活性化活動に関わる人材のシェリングをすることで、従来は自治体ごとで行っていた点としての活動から、地域を一体とした、面としての広がりを持った新たな活動となり、地域活性化の新たなイノベーションを起こすことができると思うのです。

これまでは自治体だけの話をしましたが、ここに地域金融機関であったり、町おこし隊の担当者の方が入ることで、大きなうねりになっていくのではないでしょうか。

まずは提供することが大切

私が尊敬する先輩経営者の方が、水桶の例え話をして頂いた内容が参考になります。

桶の中の水を自分が欲しいと思って、欲しい分を手のひらで手前に掻けば、手前に掻いた分だけの水しか得られることはできません。しかし水が欲しいと思うときに、手のひらを手前に掻くのではなく、逆に水を押してやると、今度は押した水が波となって大きなうねり(波)となり、自分や自分の周りに帰ってくるのです。

地域活性化の活動でも同じことがいえるのではないでしょうか。まずは自分や自分たちの組織のためだけに何かをするという発想ではなくて、地域や地域の人のために良い活動をするという、人材の提供や活動をすることが、長い目で見たときに大きなうねり(波)となって、大きな地域活性化活動につながっていくのではないでしょうか。行政や地域金融機関、町おこし隊の方たちが、地域の共通利益のために、まずは協力して新しいプロジェクトを作っていくという発想で協力体制ができれば、すぐに大きな成果はでなくても、将来的に必ず良いうねりができてくると思うのです。

目先の自分たちの利益に執着するのではなく、地域の将来のために活動して、協力していくという発想が出てくると、必ず地域にとって良い動きが出てくるのではないでしょうか。その時に中心にいるのは、事業会社でもありながら、地域からの信用もある地域機関の職員さんがプロジェクトにかかわっているという関係性が、地域の誰もが納得する構図になるのではないでしょうか。