地域の中に眠っている無形資産から付加価値創造する
地域の中で眠るお宝の製品・サービス(素材・コンテンツ)
地域の中にはまだまだ世に知られていない製品・サービス(素材・コンテンツ)がたくさんあります。従来の地域の中小企業は地域の中だけで商売ができており、あえて他の地域に商売を増やす人はそう多くはありませんでした。
しかし、今後人口減少が明らかになり、地域経済が伸び悩んだり、お客様の消費行動が成熟化した中では、今まで売れていたものが売れなくなり、地域以外の人にも売っていく必要性が出てきています。地域の中小企業は、コロナ感染症による特殊な災害を経験していることで、地域の中だけで商売をすることのリスクを感じ始めているのです。
また日本の中には太古の昔からある歴史、自然、風土、文化が京都や奈良以外の地方にもたくさんあります。それらがまだまだ世の中に知れ渡っていないのです。地域の歴史、自然、風土、文化である素材、コンテンツについて、日本人よりもインバウンドで来る外国人の方が先に気づき始めております。
現在、世界では日本ブームが起きています。春夏秋冬の四季のある日本では、季節に応じた素材の旬があり、変化に富む様々な自然や食べ物が豊富にあるのです。この四季の変化と織り交った、地域の中にある製品やサービスは日本的なものとして、海外の人から価値があるものとして評価されているのです。
これは、地域の中で暮らしている日本人にとっては、日常生活のなかのありふれた、光景であったり、物であったりするために、価値がわからなかったのです。
しかしインバウンドで訪日する外国の方からみると、趣きがあったり、繊細であったり、美しかったりと、人にとって普遍的な感性にうったえかける、価値があるものなのです。
外国の方が日本の無形資産である、歴史、自然、風土、文化の真の良さに気づいて、大勢の訪日客が来てくれているのです。
葉っぱからでも付加価値創造できる
地域の中に眠っている無形資産から付加価値創造活動を行えます。地域の中で眠っている無形の資産から付加価値創造した良い事例として、取り上げられるのが徳島県上勝町の「葉っぱビジネス」の株式会社いろどりさんの事業が有名です。
上勝町は徳島県の山深いところに位置する高齢化が進んでいた街です。この街には主要な産業は林業以外に従来はなかったのだと思います。高齢化と過疎化という地域課題に直面している街に、システム会社出身の社長が、この地域のおばあちゃん達が里山にある木々の葉っぱをとってきて、都会地の料亭等のつまものとして出荷するビジネスモデルを構築して、新しい付加価値を創造したビジネスモデルを作り上げました。
上勝町の中にある山や里には、もみじや楓の葉っぱはごくありふれた植物としてあると思います。上勝町の里山の中にある限りでは、葉っぱ以上の価値はありません。しかし都会地の高級料亭にでてくる料理に添えられた、上勝町のもみじや、楓、木の実は、料理を食べるお客様にとって食事に彩りを与える大きな商品・素材(コンテンツ)になるわけです。
これをシステムを使って都会地の料亭から注文を受け、注文を受けた葉っぱを上勝町のおばあちゃん達にとってきてもらい、料理に添えるつまものとして出荷するというビジネスモデルを構築しているのです。これは地域の中にある自然という無形の資産を見事に付加価値化した素晴らしいビジネスモデルだと思います。
これによって地域の人たちは新しい収入源を得られたし、都会地の料亭で食事をするお客様にとっても非常に情緒のあるおいしい料理を食べることができて、誰もが損をしないビジネスモデルが出来上がっているのです。株式会社いろどりさんのビジネスモデルは、無形資産が重要であるということを示していると思います。
昭和レトロも観光資源になる
地域にある歴史が無形資産になる例として、昭和レトロを感じさせる街並みや、商品も最近注目を集めています。
以前は閑古鳥が鳴いていた地域のスナック街が、外国の方に注目されています。古びたスナックのカウンター越しに、店員の方とお客様がお酒を飲みながら、店員さんとの会話やお酒を楽しんだり、カラオケをしたりと、これも日本独特の文化なのではないでしょうか。昭和のライフスタイルは既に、歴史を通して日本文化にまでなっているということだと思います。
また、昭和時代に作られたブラウン管テレビやトランジスタ―ラジオ、ラジカセも、昭和レトロを醸し出す商材として注目をあびています。
このように地域の中には、今までその場所だけでは価値を生んでいないけれども、外国の方に提供したり、場所を変えたり、新しい組み合わせを作ることで、新たな付加価値を生む商品やサービスが無尽蔵にあるはずなのです。
地域にある無形資産の代表的なものは、地域の文化や歴史、自然、風土、食、伝統といったものです。この無形資産と地域のお客様の商品(コンテンツ)を組み合わせることで、新たな付加価値創造活動はできるはずです。
地域金融機関の方のお取引先さんの中や周りにも、まだ気づかれずに、眠っているお宝コンテンツがあるはずです。このコンテンツをお客様と一緒に企画して、新たな付加価値創造をする活動を行うことは、新しい仕事になるはずです。