言語化と企画力が地域金融機関の強みになる

2025年01月10日

企業の経営を行う上で、言語化していくということが重要です。

中小企業は自社の強みの言語化が難しい

地域の中小企業は、自分たちの強みや魅力に気づいていなかったり、気づいていても自分たちのやりたいことが、ぼんやりとしか頭の中で思い浮かばず、それを現実化することが難しい企業が多くみられます。

これらの原因は中小企業の経営者さんが忙しすぎて、自社について分析できていないことや、人材が不足しているために、うまく自分たちの魅力を発信できていないということがあげられます。この気づかれていない強みや魅力を、地域の中小企業の社長と一緒に考えてあげて、言語化するという作業が非常に重要なのです。

一人では想いを行動に移すことは難しい(塾経営をする会社の事例)

以前、ある街の塾の社長(先生)が悩まれていたケースがありました。その悩みとは、子供の数がどんどん減っていく中で、自分の塾の周りに、競合の塾が多く出店してきており、今後の塾の運営をどのようにすれば良いのかということでした。

その社長(先生)からくわしく話を伺いますと、「塾の生徒さんに対して、受験勉強だけの詰め込み型のテクニックを教えるようなやり方はしたくない。生徒さんが自ら勉強することの面白みを感じて、能動的に勉強に取組み、今の難しいこの社会を渡っていくために、必要な勉強の仕方を教えてあげたい」とおっしゃっていました。

このお話から社長(先生) は、生徒さんの一人ひとりの人生に対して真剣に向き合っている方だと感じました。

対して、周辺の競合塾では、塾生に対して競争心を煽って切磋琢磨して学力を伸ばすという塾が大半で、頭が良くて競争に勝てる子たちがいる反面、競争からこぼれ落ちて、うまく勉強ができてない子が多く出ており、そのことに対して社長(先生)は非常に危機感を持たれていました。

私はこの社長(先生)の考え方に共感を覚えました。私も今の塾生と同世代の子供を持つ親だったので、皮膚感覚としてこの先生の考え方に共感できたのです。

想いだけでは伝わらない

しかしこの先生の考え方というのは世の中には全然伝わっていませんでした。でも世の中にはこの塾の考え方に賛同する親御さんや、生徒さんは多くいるはずです。この良い考え方だったり、魅力をいかにして発信していくかということを、この社長(先生)といっしょに考えることが重要なのです。

最初は周辺の競合塾がしている方式と、同じようにしなければいけないのかと、悩みを抱えていらっしゃいました。しかし社長(先生)とディスカッションするにつれ、そんなことはなく正々堂々と自社(塾)の良い考え方を、つらぬくべきと思いを固められました。それからは、自分たちの理念に自信を持たれたようで、今はその考え方で邁進して、地道に塾生の数を増やされています。

自社の強み、魅力を言語化するサポートをする

この事例が示すように、地域の中小企業の経営者の方は、自分の頭の中だけで悩みを抱えていて、その悩みをどのように解決していったらいいかということに、具体的な方策がない企業が多くあるのです。

これは自分の会社の強みや、魅力を言語としてきちんと理解して、他の企業と自社を差別化すること、そしてお客様から他社と、自社を区別してもらうということです。この他者との差別化を図ったり、区別をつけてもらう作業をするときに言語化することが非常に重要なのです。

認知をしてもらうことが難しい

自分たちは何者であるか、他社と自社が違うところが何であるのかということをアピールして、知って欲しい人に認知してもらう活動が必要になってくるのです。しかし認知をしてもらうという事は大変です。大手企業であれば資金も十分にあり宣伝広告や、WEB広告を出して、宣伝する事は容易ですが、地域の中小企業では、多額の宣伝広告費を捻出する事は難しいのです。

自社の強みを発信するツールとしてのWEBマーケティング

自分たちの強みや、魅力を発信するときに有効なのは、SNSマーケティングやコンテンツマーケティングです。このWEBマーケティング手法を使って、自社の魅力や強みを、画像や映像、言葉にして発信することが重要です。私たちは何者であり、こういうことができる者なのです、ということを対外的に発信することです。

WEBマーケティングを開始しても、すぐに認知してもらう事は難しいと思います。しかし地道に自社の強みや、魅力を嘘偽りなく発信していけば、必ず認知されて広がる時が来るはずです。この一連の作業を一緒になってサポートする事は非常に重要なことです。こういったサポートができる組織は、地域の中で信用がある地域金融機関の職員さんが、一番適任であると思うのです。

またSNSの発信だけではなく、地域金融機関にはリアルのネットワークを地域の中で持っています。WEBマーケティングとリアルのネットワークを組み合わせた企画であったり、別のお客様を紹介して新たな事業の企画をしたりすることで、サポートする会社の認知度を広げることができるのです。

企画が重要な仕事になる

そして、この一連の強みや魅力を言語化して、認知を広める宣伝や、新たな事業を立ち上げるということは、企画という作業になります。この企画の作業は、誰でもができるものではないのです。しかし地域金融機関の職員さんたちは、常に融資(与信)管理をするために、お客様から事業の内容を教えてもらっています。そしてお客様からの信頼を得られています。地域金融機関以外でお客様の事業状況を詳しく知れたり、一緒に考えられる人材は限られています。他の業種の会社から見れば特殊なポジションにいるわけです。

なので地域金融機関の職員さんが、地域の中小企業の経営者の方と一緒に新しいプロジェクトの企画を創っていくパートナーとしては最適なのです。

三方良しのプロジェクトを創る

この地域での信頼関係をベースにした一連の作業で、新たなプロジェクトをお客様と一緒に創ることができれば、「お客様」、「地域金融機関」、「地域」の三者にとって利益になる三方良しの仕事になるのではないでしょうか。これからはお客様の事業の言語化と、プロジェクトの企画力を発揮できる人材を、組織の中にどれだけ多く作れるかが、勝負になってくるのではないでしょうか。